特に自分自身に能力なんて望んだことがなかったし、材料のこともあるし、特にオプションもなくオーソドックスな造りの|素体(そたい)にしようかと考えていたのだけれど、ふと、前提条件が|間違(まちが)っていたことに気付いたのが、さっき。

 この研究所が続く前提だった。それなら、|璃音(りおん)や未来の自分のメンテナンスにもそこまで苦労はしないだろう。精密操作の補助をする機械があちらにもこちらにもある。

 ここ、|()け|(わた)さなきゃいけないじゃん。さすがに、機械一式とか、ひょいひょい持って|()げられないじゃん!

 物理的に厳しいというのもあるし、一応現在進行形で研究所には|()て|()もって、|徹底(てってい)|抗戦(こうせん)の|(てい)を取っているので、|()げたと思わせないようにするためにも持ち出せない。

 本当に組織の言う通りに|()き|(はら)って投降したとしても、待っているのはやはり|粛正(しゅくせい)なのだという予感がある。今までの組織のやり口から考えても結構な割合で待っているのは身の|破滅(はめつ)。もしくは、|璃音(りおん)を|人質(ひとじち)に取られて、一生意義をなくした研究をやらされるかだ。

 どちらも、まっぴらごめんである。

 そんな訳で、能力は付けない予定だったけれど、|急遽(きゅうきょ)方針|転換(てんかん)することにした。精密に、金属その他の物質を加工できる能力。今後、|璃音(りおん)や自分のメンテナンスを安定して行うには、|(おそ)らく|必須(ひっす)の能力だ。

 だって、|璃音(りおん)のたってのお願いだしね?

 |(ぼく)以外の他人に、|身体(からだ)を|(いじ)られたくないって、言ってたもんね?

 もしも|()げ|()れたら、|()ずは新しい|拠点(きょてん)を確保して、|璃音(りおん)が一人でも操作できるメンテナンスの機械を造らなくちゃ。|璃音(りおん)のメンテナンスは|(ぼく)がするとしても、|(ぼく)自身のメンテナンスは|璃音(りおん)に手伝ってもらわないと、無理だろうし。新しい|拠点(きょてん)の候補地は、材料を確保することも考えて、|璃音(りおん)が仕事場にしていた|違法廃棄場(いほうはいきじょう)の地下とか、どうだろう。|璃音(りおん)の元いた場所という点では、ちょっと組織の目に気をつける必要があるけれど、|璃音(りおん)にとって慣れた地というのは大きい。

 研究所内の|随所(ずいしょ)に設置された|監視(かんし)カメラの中に、その|璃音(りおん)の姿を探す。|璃音(りおん)には、研究所の防衛機構の強化を|(たの)んでいるけれど、そちらが一段落したなら|(ぼく)の|素体(そたい)の組み立てを手伝ってもらおう。

絡繰異聞・創造主編07・ブラックボックス