大きな音と共に、大きな|(かげ)が走って、頭の上から強い風が、|()さえつけてきた。だから、まとっている布が飛んでいかないように、ぎゅっとする。だって、これがなくなると、体がピリピリするし、後からブクブクの元にもなるから、手放すわけにはいかない。

 上を見たら、大きな大きな、ヒコーキというらしい鳥が飛んでいた。ヒコーキというものは、お|(なか)に人をいっぱい|()み|()んで、あっちからこっち、またこっちからあっちへと運んでいるらしい。カケルにぃが、そう言っていた。

 リオンとシオンは、あまり上を見てはいけない。そして外ではできるだけ、厚い布に|()もれてなくちゃいけない。太陽の光に弱い、シラコの悲しい定めだねって、そんな風にカケルにぃは言うけれど。

 それでも、上の上のさらにその上は、ヒコーキが飛び回れるくらい広いんだなぁと思ったら、行ってみたいなぁと思うんだ。あの、色とりどりの中を、ヘロヘロになるまで飛び回れたら、スッとするんだろうなって思うんだ。

 ああ、でもリオンは、シオンを置いていっちゃいけないから。シオンが、もっと元気になるまでは、これはナイショのオアズケなんだ。

 シオンにはリオンしかいないから、リオンがシオンを置いていったらダメなんだ。

 シオンのお薬にはいっぱいお金が必要だから、ずっとよそ見なんかしていないで、キラキラを集めないと。大きなガラクタの、中とか下とかに、ちょびっとずつあるから、いっぱい集めないと。

 あ、キラキラって言ったら、また|()られるや。レアメタルって言うんだっけ? でも、見つけるときにはキラキラなんだよね。キラキラ。

 今日はどれだけキラキラ見つけられるかな。お薬分になったらいいな。

 そして、いつかシオンと|一緒(いっしょ)に、上の上まで飛んでいけたら良いのにな……。

絡繰異聞・堕天使編02・不穏な空気