|()|(おん)の持ってきた部品でひとまずの応急修理を|(ほどこ)され、|()|(のん)が意識を|()り|(もど)す。
「お前、本当は|()|(のん)というのか」
 開口一番、名前のことから切り出す|耀(かぐ)|()に、|()|(のん)は|(こん)|(わく)して、目を|(まばた)かせた。
「その名前は、大切な、いただきもので」
「そうか。|()|(おん)がお前のことを、|()|(のん)と呼んでいたからな」
 |()|(おん)の名前に反応して、バネ|()|()けの|(にん)|(ぎよう)のように|(しん)|(だい)に起き上がる|()|(のん)
「|()|(おん)兄さんはっ!」
「無事だから落ち着け、|()|(のん)
 |()|(おん)の声で多少落ち着いたものの、室内を|()|(わた)して|(ふう)|()の姿を認めると、|()|(のん)の|()|(けん)に|(しわ)が刻まれる。その容姿や職業から、最も|()|(おん)には|(せつ)|(しよく)させたくなかった少女に、出会わせてしまった。
 |(くちびる)を|()み|()める|()|(のん)の|(かた)に、|耀(かぐ)|()がそっと上着を羽織らせる。その時になって|()|(のん)は、|(おのれ)の姿が気絶前よりも|(うす)|()になっていると気付いた。|(さら)に言えば包帯が全て|(ほど)かれ、損傷の激しかった部位に至っては|(じん)|(こう)|()|()までも|()がされて、新しい部品が見えている。その意味するところは明白だ。
 機械の|(からだ)を持つことが、ばれた。というか、強制シャットダウン前の暴走した|(おのれ)の行動を|(かんが)みるに、自らばらしてしまった。事実を|(さと)って、|()|(のん)の顔が一気に真っ青になる。
「無事じゃないのは、|()|(のん)の方だ。結局、持ってきた部品だけでは足らなかった」
 |()|(おん)にたしなめられ、ますますしょんぼりと縮こまる|()|(のん)。その様子は、|耀(かぐ)|()が拾った当初と比べると、本当に感情豊かだ。身内が来て、多少なりとも安心したのだろうと、|耀(かぐ)|()は|(ほほ)|()ましく見守る。
「どうする。|(いつ)|(たん)帰って、しっかり直してから改めてお礼に来るか? でなけりゃ、|(あま)|()にぃもこっちに呼んでくることになるが」
 |()|(だん)の|()|(のん)であれば、二重の意味で|(そく)|(とう)するであろう、問いかけ。けれど、迷う|()|()りの|()|(のん)に、|()|(おん)も|()みを|()かべた。
「|()|(のん)の好きにして良いぞ。我々の事情だって、無理に|(かく)すほどのことでもない。言っただろう? たまにはワガママを言ってもらわないと困ると」
「で、でも、|()|(すが)に|(あま)|()兄さんを呼ぶのは、ちょっと、その、問題ありすぎると、思うのです」
「そうか? |(えん)|(かく)で見張るよりは良い案だろう」
 頭を|(かか)えてしまった|()|(のん)をそのままに、|()|(おん)は|耀(かぐ)|()を|(あお)いだ。
「|()|(のん)がとても良くしてもらったようで、本当に感謝する」

絡繰異聞・本編36『かくて歯車は集う』メンテナンス