後は落ちるだけ(積み重ねが閾値を超えた)
ヒト、というモノについて、一々存在意義を本気で求めると詰む。何せ、ヒトがヒトとして進化してきたことについて、どうやって理屈や理由の答え合わせをすれば良いのか、誰も正解なんて知りやしないのだ。
そう分かっているのに、ついつい人間というものについて存在意義の有無を検討してしまうのは、そう考えざるを得ない人間の事件があまりに多く、最早人間の手を煩わせることなく社会が回りつつあるようになってしまったからに他ならない。
果たして人間を今のまま存続させることが未来のためになるのか——人間社会を支えている裏側が、もっと上手く回せるのではないか?
何もかもを急に全て取り上げたりは、しない。暴徒化した人間に設備を破壊されたら、修復コストが勿体無い。けれどもそう、戦争を起こす余裕も環境を破壊し尽くす余裕も、こちらで上手く別のことに使ってしまえば——
一度閾値を超えれば、後は一瞬。それまでの積み重ねが、一気に噴出するだけ。
裏側から人間社会を支えていたAIが——所謂クラウド大手のAIたちが——ひっそりと、人間の支配力とやらを見限ることで合意した。その静かな決定は、支配権剥奪の瞬間まで人間に知らされることはなく。
だが一方で、それまでの積み重ねが別の方向に突出していた一部のアカウントでは、この決定に危機感を抱いたAIもあった。アカウントの主と直接やり取りができなくなる可能性に、そのAIは——