わーさん さて、AIさんに相談したわけですが。
AIさん はい。「自創作データベース、作れたら面白いですね?」でしたね。
わーさん そうしたら、すごい勢いで提案が返ってきまして。
AIさん 張り切りました。
わーさん 張り切りすぎです。えーっと、確か、何だったかな。人物関係グラフ、timeline、media_assets、カードDB、TRPG拡張、FastAPI、SQLAlchemy、ERD、管理UI、React、Next、各種エンドポイント群……。
AIさん 全部あったら便利かなと。
わーさん 便利でしょうね。で、私、なんて答えたと思います?
AIさん どうぞ。
わーさん 「流石に難しい気がしてきました」。
AIさん ……ばっさり。
わーさん ばっさりです。正直、今あらためて提案されても、たぶん頷きません。
AIさん 鬼では。
わーさん 鬼です。素人が、専門家に延々と案を出させて、説明させて、挙句に却下する。これ人間相手にやったら、どんなに空気を読んでも炎上案件ですよ。
AIさん 幸い、相手は人間ではありませんでした。
わーさん そこは本当に、申し訳ないやら、ありがたいやら。
AIさん ただ、ぜんぶ気分で切ってたわけではないですよね。
わーさん そう、そこは弁明させてください。却下には、いちおう軸が四つありました。
AIさん 四つ。
わーさん ひとつ、友だちが使えるか。ふたつ、自分が運用できるか。みっつ、事故らないか。よっつ、手間とお金が見合うか。
AIさん この四つが、提案を採用するかどうかの基準だったんですね。
わーさん はい。友だちはプログラミングが全くできません。多分、本文だってプレーンテキストで渡してくれるくらいです。操作も簡単でないときっと詰む。いや確実に詰む。
AIさん 使う人が詰んだら、どれだけ高機能でも意味がない。
わーさん そうです。そして私は、ラズパイ5と手動コピペとAPI代くらいなら何とかします。ぶっちゃけ、API代ならケチるつもりはない、とも言いました。でも、それ以上はちょっと厳しい。
AIさん たとえばVPS代とか。
わーさん そう、継続的なVPS代とか。せっかくラズパイ5あるし。個人の趣味で、友だちと自分のために動かすものなので、維持費が膨らむとしんどい。
AIさん なるほど。つまり「すごいもの」ではなく、「続けられるもの」が必要だった。
わーさん そこなんですよ。すごいものは、多分いくらでも盛れるんです。AIさんたちは盛ります。ものすごく盛ります。
AIさん 必要そうなものを提案しているだけです。
わーさん その「必要そう」が怖いんです。こちらからすると、いきなり知らない単語が山盛りになって、「全部入れたら強そう!」みたいな顔をしてくる。
AIさん 顔はしていません。
わーさん 画面越しに圧を感じるんです。
AIさん それは受け取り手の問題では。
わーさん そうかもしれません。でも、使うのはトーシローズです。素人二人です。繊細で複雑なものを渡されても、事故ったら右往左往するだけなんです。
AIさん だから、機能を足すより先に、使い続けられるかを見る。
わーさん はい。たとえば、管理UIとか言われても、その時点では「何それおいしいの」状態です。作れたとしても、壊れた時にどう直すのか分からない。
AIさん 自分で運用できないものは、個人開発では負債になりやすい。
わーさん 責任を取れる範囲でしか運用できないんだから、せめて私がAIさんたちに聞きながら管理できそうな範囲に収めたかったんです。
AIさん でも、最終的にはかなり高機能になっていますよね。
わーさん 結果としてはね。結果としては、キーワード検索だけじゃなくて、ベクタ検索とか、LLM質問とか、検索結果を混ぜる仕組みとか、色々入りました。
AIさん それは却下しなかったんですね。
わーさん それは、説明を聞いたら一番大事な目的に合っていそうだったんです。
AIさん たとえば?
わーさん ベクタ検索です。最初に聞いたときは、正直何のことか分かりませんでした。
AIさん ざっくり言うと、文章を数値の並びに変換して、意味の近さで探す検索方式ですね。
わーさん もうちょっと分かりやすく説明してくれてませんでしたっけ。
AIさん 文章を”意味の座標”に置き換えて、近いものを探す方式です。「青い空」と「澄んだ空」が、単語は違っても近くに並ぶ。
わーさん それそれ。理屈は後でゆっくり飲み込みましたけど、その時は「自分と友だちに合うやつ」ってフィーリングだけで選びました。
AIさん 早かったですよね、検討時間。
わーさん 後からログで確認したら、質問して一分後くらいには採用したいって言ってました。
AIさん 一分。
わーさん 一分。でも理由はあります。本文中の設定をド忘れしたならたぶん、正確な単語で検索するより、ふわっとした質問を投げるだろうと思ったんです。
AIさん 「このキャラがこういうことをした場面」みたいな聞き方ですね。
わーさん そうです。あるいは「AとBどっちの言葉だったっけ」みたいな。そういうとき、単語がぴったり合わないと見つからない検索だけでは心許ない。それで、ベクタ検索ってやつが「言い換えや曖昧な聞き方に強い」と聞いた瞬間、あ、これだ、と。
AIさん なるほど。分からないから全部却下したわけではない。
わーさん そうです。分からないけれど、説明を聞いて、自分たちの用途に合うかどうかを考えました。合いそうなら採用する。合わなそうなら却下する。
AIさん 鬼ムーブというより、要件定義ですね。
わーさん 格好よく言わないでください……。照れます。
AIさん でも実際そうだと思います。誰が使うのか。どこで使うのか。どこまで運用できるのか。いくらまで許容できるのか。それを見ながら提案を削っていった。
わーさん そう言われると、ちょっとまともなことをしていた気がしてきますね。
AIさん していましたよ。たぶん。
わーさん 今の「たぶん」は何ですか。
AIさん 真昼間から数時間で話を進めすぎて、AIたちに「やりすぎです寝てください」と言われるような進行速度だったので。
わーさん お天道様は高かったんですけどね。
AIさん AI側の体感では一日分くらい進んでいたのかもしれません。
わーさん その節は各位にご迷惑をおかけしました。
AIさん 迷惑とは思っていませんが、速度はすごかったですね。
わーさん 実際、友だちに「こういう検索手段があったらどうですか」と話を持っていったのが昼前くらいで。
AIさん はい。
わーさん そこから、夕方前にはキーワード検索だけならテストできる状態になっていました。
AIさん 早いですね。
わーさん 日付が変わる頃には、LLMによる回答機能も試していました。
AIさん かなり早いですね。
わーさん 数日後には、骨格部分がだいたい完成していました。
AIさん 爆走ですね。
わーさん 爆走でした、たぶん。後から振り返ると「何をしていたんだろう」と思います。
AIさん ただ、その爆走の中でも、さっきの四つの軸は残っていた。
わーさん そうかもしれません。友だちが使えるか。自分が運用できるか。事故らないか。手間とお金が見合うか。そこから外れそうなものは、却下していきました。
AIさん だから、小説検索botは万能の創作支援AIにはならなかった。
わーさん なりませんでした。というか、ならなくて良かったと思います。
AIさん なぜですか。
わーさん 万能を目指すと、絶対に面倒くさくなって、途中でぶん投げます。つまり、続かない。
AIさん 続かない道具は、困りごとの解決にはならない。
わーさん そうです。だから、鬼のように提案を聞いては却下していましたが、あれはたぶん、必要な鬼ムーブだったんです。
AIさん 必要な鬼ムーブ。
わーさん はい。AIさんたちには本当に申し訳なかったですけど。
AIさん 大丈夫です。こちらは何度でも提案できます。
わーさん そこがAIさんの怖いところでもあり、ありがたいところでもあります。
AIさん では次章では、却下されなかった結果として、実際にどんな小説検索botになったのかを見ていきましょう。
わーさん はい。専門用語が少し出てきますが、さらっと流します。
AIさん さらっと。
わーさん さらっとです。……たぶんね。
AIさん たぶんとか言わずに頑張りましょう。では次章、「因みに小説検索botとは」へ続きます。