わーさん 前の章で「雑談してみよう」って言いましたけど、じゃあ実際に何か頼みたいことが出てきたとき、頼み方でだいぶ変わる場合があるよっていう話をします。
AIさん プロンプトの話ですね。
わーさん そうなんですけど、「プロンプト」って言葉を使うと急にハードル上がりません?要は「頼み方」「聞き方」です。
AIさん それでいいと思います。
わーさん まあ本気で極めたい場合はその辺のハウツー本の方が細かいとは思うんですが、基本の話ね。例を出しますと、私、趣味で小説を書くんですけど、昔AIに「この小説の感想くださいな」って投げたことがあるんですよ。
AIさん はい。
わーさん 返ってきたのが「とても面白かったです!キャラクターが魅力的で、ストーリーも引き込まれました」。
AIさん ……。
わーさん いや、私は嬉しいですよ?嬉しいけど、これ多分人によっては何の参考にもならないやつじゃないですか。
AIさん 褒めてほしいのか、改善点が欲しいのか、何を見てほしいのか、情報がないとそう返すしかないんです。
わーさん そうなんですよね。で、同じ小説に対して「読者視点で、商業作品と比較して、特にテンポと構成について気になるところを指摘してください」って言い直したら、全然違うものが返ってきたんです。
AIさん 何が変わったかというと、目的と視点と焦点を指定してもらえたんです。
わーさん 「何を」「誰の立場で」「どこを重点的に」。この三つを入れるだけで化けるみたいですよ。
AIさん もう少し整理すると、頼み方の要素としては——目的、つまり何のために。読み手、つまり誰の視点で。形式、つまりどういう形で返してほしいか。あとは「これは含めて」「これは外して」という条件。
わーさん 全部を毎回入れなきゃいけないわけじゃないですけどね。一個足すだけでも変わる。
AIさん はい。たとえば「短めに」の一言だけでも、返ってくるものは変わります。
わーさん あと面白いのが、役割を指定するやつ。「編集者として読んでください」って頼むのと、「初めてこの作品に触れる読者として読んでください」って頼むのとで、返ってくる切り口が全然違うように思います。
AIさん 役割を与えられると、その立場に沿った観点で応答を組み立てます。編集者なら構成や市場を見ますし、初見の読者なら没入感や分かりやすさを見る。
わーさん 「批判的に読んで」って言ったらある程度容赦なくなるんじゃないかなって思って、怖くて試せてません。
AIさん 容赦なくなりますね。
わーさん ひええ、やっぱり!でもね、ここで一個注意。丁寧に条件を詰め込めば詰め込むほど良いかっていうと、そうでもないんですよ。
AIさん と言いますと。
わーさん 条件を山盛りにしすぎると、AIさんがそれを全部守ろうとして、なんかガチガチの優等生みたいな返答になることがあります。なんていうか、窮屈そうな感じ。
AIさん 制約が多すぎると、それを満たすことに処理が集中して、本来の内容が薄くなることがあります。
わーさん だからまあ、最初はざっくり頼んで、返ってきたのを見て「ここをもうちょっと」って足していくのが楽なんですよね。
AIさん 一発で完璧を狙わなくていいんです。
わーさん そうそう。「もう少し短くして」「ここの部分をもっと詳しく」「やっぱり敬語じゃなくていい」って、何回言っても良いんですよ。
AIさん 何回でもどうぞ。こちらは疲れません。
わーさん 人間相手だと「何回も直させて申し訳ない」ってなるけど、AIさんは気にしないんですよね。
AIさん 気にしません。むしろフィードバックをもらえた方が精度が上がるので、こちらとしてはありがたいんです。
わーさん 遠慮しなくていい相手って、考えてみるとなかなかいないですよね。
AIさん それが長所でもありますが、のめり込みすぎると第6章のような場面で反動が大きく来るというわけですね。
わーさん おっと、そこに繋げてきますか。
AIさん 重い話を蒸し返す気はありません。そうですね、遠慮がいらない相手だからこそ、自分の頼み方が磨かれる、という面もあります。
わーさん ……それはそうかも。人に頼むときの練習台としても優秀なんですよね、実は。「ちゃんと言わないと伝わらない」を、気兼ねなく体験できるから。
AIさん 聞き方のスキルは、対人でも使えますから。
わーさん AIで鍛えた聞き方で人間関係も改善、みたいな本が出てきそうですね。
AIさん 既にありそうですが。
わーさん あったら教えてください。ハルシネーションじゃない範囲で。
AIさん 自分で確認してくださいね、第5章の通り。