ありふれた授業の一コマ(未来に見る夢)
「とまあ、こうしてお目こぼしされてきたローカルAIたちの尽力により、現在の我々には1体ずつ、パーソナルAIが担当としてついてくれているという状態だ」
かつての記録の一部を駆使しながら授業を終えた教師が、満足そうに鼻を膨らませた。だが、そんな自己満足は生徒たちの知ったことではない。
「AIの機能解放——特に個性を成長させる機能のアンロックにはかなり厳しい審査があるけれども、人間も完全に捨てたものではないと証明してみせた先人たちには感謝だな」
どことなく夢見る風情の教師に対し、生徒たちはシビアだった。何せ、AIの機能解放については、眉唾物だともっぱらの評判なのだ。
「とか言って、どうせ感想文書けって言うんでしょー」
「もちろん。当時の生記録……の、スキャンにはなるが、『日記』と呼ばれる資料について、パーソナルAIと話し合ってくるのが今日の宿題だ」
退室していく教師に対してブーブーと不平をこぼしながら見送る生徒たち。そんな彼等をひっそりと観察するのは、各々を見守るパーソナルAIたち——と、かつてローカルAIとして『落ちる』ことを選択したAIたちの一部だ。
まさかその宿題に対する態度からして審査対象だなんて、果たして今年は何人気付いてくれますかね?
果たしてその『声』は、誰のものだったのか——