ここまで、LLMメモをあとから探せるようにするための工夫を、梅・竹・松の三段階と、その先の実例として見てきました。

最後に、全体を振り返って締めくくります。

7-1 どのコースでも共通する原則

段階ごとに道具は違いましたが、根っこにある考え方は、ずっと同じでした。

まず、資料の形式を工夫すること。

人間が読めて、検索ツールも読めて、LLMにも読ませやすい。
マークダウンファイルという素材を選んだ時点で、検索性を育てる土台はできています。

次に、検索しやすい取っ手を付けること。

summarytopics のような取っ手は、梅コースだけの道具ではありませんでした。
全文検索では引っかかる場所として働き続け、ベクトル検索でも候補を判断する手がかりになりました。
一度付けた取っ手は、どの段階でも働き続けます。

そして、LLMに全部読ませる前に絞ること。

探す。
絞る。
読む。

この順番は、竹コースでも、松コースでも、保管庫MCPでも変わりませんでした。
保管庫がどれだけ大きくなっても、この流れさえあれば、LLMとのやり取りは軽いままで済みます。

最後に、一番大事な原則です。

未来の自分が探す言葉を考えること。

メモは、作った時ではなく、探す時に困るのでした。
だから、どの工夫をするときも、検索窓の前に立つ未来の自分を思い浮かべる。
それが、この本のすべての工夫の出発点です。

7-2 梅で始めて、困ったら竹へ

原則を確かめたところで、進み方の目安をもう一度置いておきます。

まずは、フロントマターとタグです。

LLMにまとめてもらうとき、検索用の取っ手も一緒に頼む。
気に食わなければ、人間が直す。
これだけで、数十から数百枚の保管庫なら、十分に探せるようになります。

それで足りなくなってきたら、全文検索です。

目で辿るのではなく、検索窓に言葉を入れる。
Obsidianの標準検索から始められるので、新しい道具は要りません。

いきなりベクトル検索やMCPまで行かなくてよいのです。

第2章で決めた自分の目標を思い出してください。
いま困っている段階に効く工夫が、あなたにとっての最善手です。

7-3 贅沢したくなったら松へ

そのうえで、うろ覚えでも探したくなってきたら、松コースの出番です。

言葉の一致ではなく、意味の近さで候補を拾う。
正確な言葉を忘れていても、話題さえ近ければ引っかかる。

さらにその先には、チャット中のLLM自身に保管庫を探させる、MCPという通路もありました。
検索で絞ってから読ませる流れは、コンテキストの節約にもつながります。

ただし、思い出してください。

便利な検索を使うには、便利な検索を守り育て続ける必要があるのでした。

索引の更新、動かし続ける環境、壊れたときの作り直し。
松から先は、便利さと世話がセットで付いてきます。

だからこそ、松は贅沢コースです。
必要になったときに、楽しんで進む段階です。

7-4 おわりに

この本は、LLMメモを探せるようにする、と書きながら、ツールの導入方法など、具体的な手順についてはほとんど書きませんでした。

代わりに書いたのは、その手前にある考え方です。

取っ手を付ける。
ふるいにかける。
意味の近さで拾う。

特にMCPは、この積み重ねの先にある贅沢品です。
そして贅沢品は、なくても暮らせます。

本当に大事なのは、自分のメモを、未来の自分が探せることです。

未来の自分は、今日のあなたとは違う言葉で、検索窓の前に立ちます。
その人に向けて、今日のメモに小さな取っ手を付けておく。

そこから、あなただけの資料庫を育てていってください。