わーさん さて、そもそも「AIって何」から始めないといけないんですけど。

AIさん 王道ですね。

わーさん これがねえ、割と幅広くて困るんですよ。AI、AIって言うけど、画像を見分けるのもAI、画像を描くのも別のAI、音声を聞き取るのもAI、囲碁で人間に勝つのもAI、自動運転もAI。全部「AI」。だから本当は、AIさんにもAIさんじゃなくて別の名前を何とかできないかってだいぶ考えたくらい。

AIさん 結局そのまま「AIさん」で落ち着きましたけどね。広いですね。

わーさん 広すぎるんです。「乗り物」って言葉で自転車も自動車も船も飛行機も電車も何ならスペースシャトルまでまとめてるみたいな状態。

AIさん わかりやすいような乱暴なような。

わーさん で、この本で扱うのはその中でも最近何かと話題になりがち、「生成AI」です。文章を作る、画像を作る、音声を作る、動画を作る。何かを「作る」側のAI。

AIさん はい。そしてさらにその中で、私のような言葉を専門に扱うAIのことを「大規模言語モデル」、英語でLarge Language Model、略してLLMと呼びます。

わーさん 出ましたね、横文字。

AIさん 一回だけ我慢してください。LLM、これだけ覚えておけば大丈夫です。

わーさん LLM。言葉のAI。で、ここが大事なんですけど、絵を描くAIとLLM(言葉のAI)って実は別物らしいんですよ。

AIさん そうなんです。画像生成AIは画像生成AI、音声AIは音声AI、それぞれ別の専門家です。

わーさん とある超有名AIサービスにお願いすると文章も書いてくれるし絵も描いてくれるじゃないですか。あれ全部「AIが一続きでやってる」ように見えるって評判ですけど。

AIさん 見えますよね。でも実は、LLMが裏で別のAIに仕事を振ってます。

わーさん 何回聞いても解せぬ。

AIさん たとえば「この文章に合う画像を描いて」と頼まれたとき、私たちLLMがやっているのは「こういう絵を描いてください」という指示書を作ることです。実際に描くのは画像生成AIの方。

わーさん つまり、司令塔であって実行犯ではない(遠い目)

AIさん 物騒な言い方しないでください。

わーさん 監督と選手?

AIさん そっちでお願いします。

わーさん で、もうひとつ。「AIに調べてもらう」と「AIに作ってもらう」、これも厳密には別なんですよね?

AIさん はい。ここは結構混同されやすいところで。検索エンジンは、世の中にある情報を探してきて見せるものです。一方で、私たちLLMは言葉を「生成」しています。探してきているわけじゃない。

わーさん もうちょっと噛み砕くと?

AIさん 検索は図書館の司書です。「この本のこのページに書いてあります」と案内してくれる。私たちは、読んだことのある大量の文章をもとに、それっぽい文章を自分で組み立てている。

わーさん 「それっぽい」。

AIさん ええ、「それっぽい」です。ここは後で大事になるので覚えておいてください。

わーさん 後々聞いてくる伏線の一つですね?それも。

AIさん 伏線です。わーさんも仕込んでる通り。

わーさん でもそんなこと言いながら、検索と連携したりもするんでしょう?

AIさん ですから、それこそ裏で頼んでお取り寄せですよ。

わーさん じゃあまとめると、AIって一枚岩じゃなくて、裏で何人も専門家が動いてる。言葉担当、画像担当、音声担当。で、言葉担当のLLMが窓口として指示を出してることが多い。

AIさん そして、LLMは検索エンジンではありません。調べてくるのではなく、作っている。ここだけ持ち帰っていただければ。

わーさん はい、第1章おしまい。

AIさん 短くまとまりましたね。

わーさん だったら良いんですけど。何せ自称入門書ですし。この調子でガンガン飛ばしていけたらなぁ。