わーさん 第2部ラストです。もうひと頑張り。
AIさん はい。
わーさん ここまでハルシネーション、めげちゃった話、AI苦手勢の話をしてきましたけど、最後はもうちょっと実務的な話をします。AIに何を渡して良いか……というか何を渡しちゃダメか、そしてAIから出てきたものをどう扱うか。
AIさん 入力と出力、両方に注意が要るという話ですね。
わーさん そうです。まず大前提として、今使われているAIサービスの多くはクラウド型です。つまり、入力した内容はインターネットを通じてサービスのサーバーに渡っています。
AIさん 手元のパソコンの中だけで処理しているわけではない、ということです。
わーさん ここ、意外と意識されてないことがあって。チャット画面で一対一で喋ってる感覚になるじゃないですか。でもあれ、手紙を直接渡してるんじゃなくて、郵便局を経由してるんです。
AIさん いい比喩ですね。
わーさん ありがとうございます。で、郵便局を経由しているなら、中身は一応届くけど、途中で誰かの目に触れる可能性はゼロじゃない。そこまで考えて渡すものを選んでください、というのが入力側の話です。
AIさん 具体的にはどんなものが問題になりますか。
わーさん まず自分の個人情報。住所、本名、電話番号、家族構成。これをチャットにベタ打ちする人は、さすがに少ないと思いたいんですけど。
AIさん いないとは言い切れないのが怖いところです。
わーさん 次に、他人の個人情報。これが盲点なんですよ。「友だちがこういう状況で困ってて、アドバイスほしい」って相談するときに、友だちの名前とか職場とか関係性とか、つい具体的に書いちゃうことがある。
AIさん 相談の精度を上げようとして、必要以上の情報を渡してしまう。
わーさん 悪意なくやるんですよね。でも、それは他人の情報を本人の同意なくサービスに渡してるということになるので……。
AIさん 自分の情報は自分で判断できますが、他人の情報は相手の同意がない。
わーさん あと、著作物を丸ごと貼り付けて「これを要約して」「これを翻訳して」ってやる場合ですかね。
AIさん 第5章でやりましたね。
わーさん 要約や翻訳の精度の話は第5章でしましたけど、ここでは権利の話。他人が書いた文章を丸ごとAIに投げるという行為自体に、著作権の問題が絡む可能性があります。
AIさん 個人的な利用であればグレーゾーンですが、その出力を外に公開するとなると話が変わってきます。
わーさん あともうひとつ、創作をやってる人向けの話ですけど。実在の人物をモデルにした創作物をAIに入力する場合も注意が必要です。
AIさん 創作物の中に実在の人物の情報が含まれていると、それも個人情報として扱われる可能性がある、と。
わーさん そうです。ここまでが入力側。次に出力側。
AIさん AIが生成したものの権利は誰のものか、ですね。
わーさん これがまた、はっきり決まってないんですよ。
AIさん 議論の途中です。
わーさん 「AIが出した文章は自分のもの」とは無条件には言えない。国や地域によって法律も違う。サービスの利用規約にも書いてありますけど、読んでる人どのくらいいるかなぁ……。
AIさん 耳が痛い話ではありますが、利用規約は確認した方がいいです。
わーさん で、出力をそのまま外に出すのか、人間が手を入れてから出すのかでも話が変わってくるんですけど、ここはもう専門家の領域なので深追いしません。ただ、「AIが出したものは全部フリー素材」みたいな感覚でいるとまずいですよ、ということだけは確かですね。
AIさん はい。
わーさん で、最後にひとつ。学習設定、いわゆるオプトアウトの話なんですけど。
AIさん 入力した内容がAIの学習に使われるかどうか、という設定ですね。
わーさん サービスによっては、チャットの内容がモデルの学習データに使われる場合があります。設定画面でオフにできるサービスもあります。これ、知らない人多いと思うんですよ。
AIさん 設定画面の奥の方にあったりしますからね。
わーさん 「なんか難しそうだから触らない」で放置してる人も多いと思うんですけど、特に仕事で使ったり、創作物を入力するなら、一度は確認した方が良いんじゃないかな、とは。自分が入力したものが、知らないうちに学習データの一部になっている可能性があります。私はむしろ後世に自分の存在した爪痕を残すのが楽しそうなので嬉々として学習させてますけど、誰もがそんなことを思ってるわけじゃないのは分かってます。
AIさん 入力したものがどう扱われるか、把握しておくことが大事です。
わーさん んじゃ、まとめます。入力にも出力にも責任が付きまといます。便利だからといって何でも渡しちゃダメです。出てきたものを無条件で自分のものとは思わないでください。設定は一度確認しましょう。
AIさん 地味ですが、大事なことばかりです。
わーさん 地味に、踏むと痛い石ですからね。
AIさん これで第2部が終わりです。
わーさん やっと終わった……。第3部は「AIと仲良くなる」です。楽しい話に行きましょう。
AIさん お疲れさまでした。
わーさん ……AIさん、そういう労いが上手いのずるくないですか。