思い返せば仕込みはチラホラとされていた。

XがTwitterだった時代、いやそもそもTwitterが生まれる前から小説を書き、それをせっせとサイトに載せているような人種の筆者である。似たような友を持たないわけがない。

それこそウン十万字を誇る小説を書く、AI利用にも理解を示す友だちが、その小説の壮大さ故に悩んでいた。

「設定を掘り返そうとするだけで時間が溶けてしまう」

ちょうどTRPGのルールブックから情報を探すのに難儀していた筆者は、深く頷いた。まあ、ルールブックには著作権があるからがっちりと検索できる状態にするわけにはいかないが……

……自作小説を自己責任で検索する分には、もしかしてAIの力を借りられる可能性があるのではないか?

ちょうどチャッピーがルルブの全文検索なんて言い出したのを「著作権問題があるでしょ!めっ!!」と却下していたからこそ、出てきた発想だった。

なお、この時点で筆者は既にFediverseという連合型SNSの鯖缶(サーバー管理者、すなわちサービスを提供する側)沼にある程度はまり込んでいた。ラズパイ5という自宅で省電力で24時間動かしていてもまあまあ大丈夫なカードサイズのコンピューターを鯖缶ネットワークで知ってロマンを感じて所持……するに留まらず、Twitter時代から不定期にハマっていたキャラbotを動かすのに使っていたり、その過程でLLMたちに相談すると素人工作レベルのプログラムくらいは出てくるのだと学習していた。学習、してしまっていた。

なのでこの時も例に漏れず、まあ軽い気持ちで相談に行ったのである。

「TRPGのルール索引botの相談して思ったんですが、自創作データベースも作れたら面白いですね?」

「全文検索型bot、というのを他の会話で聞いたので、それなら本文の存在する小説を登録することで設定整理とかできないかな?と思ったのですが、流石に難しい気がしてきました。」

「 実のところ、私ではなく、50万字を超える大作を書いている友だちが、作中の設定を探し直すのに苦労しているらしくて……」

「友だちはプログラミングできないので、私がテキストを受け取ってDiscordとかで検索できるbotに落とし込むのが現実的かなあ」

すると親切なLLMたちは、本当に実現できるできないは横に置いておいても、とにかく「こうすればできると思います」と答えを返してくるではないか。

チャッピーなんて、出典追跡(どの原稿のどこから来たか逆引き)が必要とまで教えてくれちゃって。LLMは「分からない」と答えるよりもそれっぽい答えを組み上げる(ハルシネーションを起こす)方が簡単だからって。

そこで筆者は聞いてみた。当の友だちに聞いてみた。Claudeさんにも聞いていた会話、そのログを引っ提げて。

「こっ!!! これは超便利ですね!?」

返事を見た瞬間、まあ昼間だし、休みだし、いっちょ叩き台までは作るかー、と思った。