魔力と呼ばれるカラフルなモヤを取り込んで、体内で無色透明に戻したソレを、世界に(かえ)す。()し取られた生命力や感情が、オレの食事だ。
 この世界はすごい。思いの力で、本当に魔法が……奇跡が起きる。けれど、その力は、どうやら諸刃の剣のようだった。
 魔素、と呼ばれる要素があるらしい。オレが吐き出している、無色透明な何か。そこに感情などが乗ると、魔力になる。魔力を消費して、魔法が使われる。けれど体内に貯蓄できる魔力には限りがあり、余った分は世界に垂れ流されていく。
 魔力は基本的に、作り出した当の生物しか使えない。他生物の魔力は、どうやら自分では制御できない暴力的なエネルギーとしか、認識できないらしい。けれども、生きている限り、魔素は消費され、魔力が放出されていく。魔法を使えば、多少は魔力を魔素に還元(かんげん)できるけれども、微々たるものなのだそう。
 結果、今のこの世界は純粋な魔素があまりなく、魔力に圧迫されている。余剰(よじょう)な魔力に耐えられず、暴走してしまう生き物もいるのだとか。
 そこに登場したのがオレ。魔力を魔素に還元(かんげん)する存在。創造神の姿を身に(まと)い、待ち望まれた奇跡をもたらした。
 この世界に(つか)わされた希望だと、幻獣たちはオレを(うやま)う。()グリフォンがオレで遊んでいたのが例外的なことで、幼すぎて分別がつかなかったみたいだ。
 オレが食事を始めたことを感じて、(みんな)が説明してくれた。目を閉じたままそれを聞くのは失礼だと思ったから起きることになったけれど、絶望の真っ只中(ただなか)、全てを拒絶していたオレには(みんな)の思いも届かなかったとかで。あまりにも申し訳なくて、また泣いてしまうところだった。本当に、この体は涙脆(なみだもろ)くて困る。

1-12【やはり間違いなく、オレに役目がある】