気絶(きぜつ)している間にユキに寄生された智樹(ともき)と異なり、篤司(あつし)の場合は自ら決断した分、途中(とちゅう)まで意識も残っていた。結果、智樹(ともき)よりも克明(こくめい)に、癒蔓(いやしかずら)が自分の身体に根を張る瞬間を感じ取る羽目になった。
 致命傷(ちめいしょう)(さら)(えぐ)られ、肉を割られ、神経をいじられる痛みを(うめ)くだけで耐え切ったように見えたのは、篤司(あつし)本人の意地(いじ)覚悟(かくご)もさることながら、智樹(ともき)とユキによる補助が果たした役割も大きい。彼らに固定されていたおかげで、篤司(あつし)の身体は癒蔓(いやしかずら)侵入(しんにゅう)に抵抗せずに済んだ。
(これで動くなって、普通は無理だろ……!)
 それでも反射的に痙攣(けいれん)する身体を(なか)ば他人事のように感じつつ、内心で毒付いていた篤司(あつし)は、ふと自分の内側に温かい「何か」が()れたのを感じた。もしかしてこれは——いや、もしかしなくても。
(そうか、根付いたか……。キズナ。お前はキズナだ)
 ふるり、とその「何か」が胸の内で(ふる)えた。そこから(あふ)れる白い光が、篤司(あつし)の意識を()し流していった。

癒蔓の子・特別編:キズナ・4