「関係は大いにありますが、私の能力|(ゆえ)に頂いたわけではないのです」
 語る|(はつ)|()の表情は|(うれ)いに|(しず)み、視線はどこか遠くを見ているよう。
「もし、私がハッキングが得意ではなかったとしても、きっと同じく、あの場所はいただいていたでしょう。逆にハッキングだけが得意でも、ザイオンサーバーには容易に|(はい)り|()めないと思います。向こうにも、意思がありますからね。意に沿わぬ事には、ある程度は|(てい)|(こう)されるでしょう」
 不思議な物言いだと、|耀(かぐ)|()は思った。|(はつ)|()の語り口調では、まるで。
「ザイオンサーバーとは、知り合いなのか」
「ザイオンサーバーは、|(から)|(くり)|()に注目していますからね」
 ザイオンサーバーの真の姿と、|(から)|(くり)|()との関係。もしも全て明かしたら、|耀(かぐ)|()はどう反応するだろうかと|(はつ)|()は想像する。
 |(こう)|(とう)|()|(けい)だと|(いつ)|(しよう)に付すだろうか。それとも。
 |(はつ)|()に手を|()し|()べたように、助けてはくれないだろうか?
 いずれにせよ、|(はつ)|()の一存だけで話せるような内容でもない。少なくとも本人と、|()|(おん)には|(しよう)|(だく)を得る必要がある。
「あー、すんません。|(いつ)|(たん)、抜けるっす」
 書記をしていた|(はず)の|(せい)|()が、決まり悪そうに|()り|()んだ。
「どうした、|(せい)|()
「|(おれ)にお客さんが来たらしくって、ちょっと相手してこなくちゃなーって」
 |耀(かぐ)|()に告げる|(せい)|()の片手には、|(けい)|(たい)|(つう)|(しん)|(たん)|(まつ)がある。|(はつ)|()が、|(つう)|(しん)|(もう)の|(しよう)|(あく)を|(ほう)|()しているため、今は|(つう)|(しん)も完全に正常化していた。
「お客?」
「|(ふう)|()ちゃんって言えば|(わか)るっすか?」
「ああ、あの子か」
 |(くだん)の情報屋の少女のことは、|耀(かぐ)|()も知っている。確かに、いくら|(はつ)|()の|(じん)|(もん)中とはいえ、おろそかにしても良い相手ではなかった。
「いいぞ、行ってこい」
 上司の許可を得て、そそくさと|耀(かぐ)|()の|(しよ)|(さい)を去る|(せい)|()
 フウカ、と呼ばれる、|(おそ)らくは女性。どこかで|()|(おく)に引っかかり、|(はつ)|()はそれを|(けん)|(さく)した。そして、その姿にそっと息を|()む。だから|()|(おく)に引っかかったのだなと、|(なつ)|(とく)もしたが。

絡繰異聞・本編30『かくて暴かれるのは』幽霊の追手