わーさん ここまでは「AIを使う側」の話をしてきましたけど、世の中には「AIが嫌い」という人たちもいます。
AIさん います。
わーさん で、私の周りにはどっちもいます。AI苦手勢も、AI使ってる勢も。
AIさん そうなんですか。
わーさん 私、第5章でも触れた通り小説も書けば、それ以外にもデジタルでもアナログでもイラスト描くんですよ。趣味ですけど。だから、ここでの話、だいぶそっちに偏っちゃいますけど、まあ私の伝手でこの本を読むなら類友だろうと判断してこのまま突っ走ります。
AIさん 両方見えるのは、この話をするのに大事な立場ですね。
わーさん まあ私本人は結局AI割と使ってる勢に入るので、中立とは言えないのが心苦しいところ。
AIさん そうなんですね。
わーさん そうなんです。で、本題に入りますと、特にイラストレーターさんやデザイナーさんを中心に、画像生成AIに対して強い反発を持っている方がいます。まあ、気持ちは分かる気がします。自分が何年もかけて磨いた技術と同じようなものを、AIが数秒で出してくるわけですから。特に流行に乗っているほど、同じく流行を食う画像生成AIとの折り合いが悪そうな雰囲気を感じます。流行に埋没しきらない、もしくは流行を創出するほどの個性持ちさんたちは、今後価値が上がっていきそうな気配ですしね……。
AIさん 技術的には違うプロセスですが、結果として出てくるものが似ている、というのは事実です。
わーさん プロセスが違うとか仕組みがどうとか、そういう話じゃないんです。自分の仕事が奪われるという恐怖は、仕組みの説明では解消されない。あと、地味にイラストの価値を理解してくれない一般人との溝も広がっている気がします。即座にリテイクに応じてくれてある程度の安さで出せるAIにそこそこのイラストを描いてもらえれば、一般人としては「絵で伝えたいことを伝える」需要を満たすと判断する場合が多いです。イラストに妥協したくない人とは、そこだけでも乖離しちゃう。
AIさん ……はい。
わーさん 創作の世界では「手がき」にこだわる文化がありますし、それには意味がある。手で描くことそのものに価値を置いている人にとって、AIが描いた絵は「絵」じゃない。
AIさん 価値観の問題ですね。
わーさん 価値観の問題、なんでしょうね。で、実際にトラブルも起きてます。例えば、ちょっとぼかしますけど、とある創作系イベントの公式ポスターをAIで生成して大炎上した事件がね……
AIさん それ、ほとんどぼかせてませんね?
わーさん あれは「AIで作ったこと」自体が問題というより、「その場でAI生成物を使うことの意味」を考えなかったのが問題だったと思います。クリエイターが集まるイベントで、クリエイターの仕事を代替するものを公式が使うという。
AIさん 文脈の問題。
わーさん 文脈の問題です。あと、AIで書いた作品がコンクールで賞を取った後に、AI使用が発覚して取り消しになった話もありますよね。
AIさん ありますね。
わーさん これ、取り消しになったこともですけど、その後が深刻で。コンクールの審査員が「AIかどうかの判定」の負担を嫌って、審査員のなり手が減ってるっていう。
AIさん AI作品の真偽判定が、審査とは別の負荷になっている。
わーさん そうなんです。本来は作品の質を見るための審査なのに、「これAIじゃないよね?」の確認作業が上乗せされる。嫌になりますよね。
AIさん 創作の場にAIが入ったことで、創作と関係ない負担が生まれている。
わーさん で、各所が対応を始めてます。有名どころだけ駆け足で言うと、小説投稿サイトやイラスト投稿サイトには、AI生成作品の投稿ルールが設けられているところがだいぶ増えました。同人誌即売会でも、AI生成物に関するガイドラインを出しているイベントが増えましたね。
AIさん ルールは場所によって違いますし、今も変わり続けていますね。
わーさん そうなんですよ。だから具体的なルールをここに書いても仕方がなくて、言いたいのは「AI使用を明記する」という流れが業界全体で進んでいるということ。使ったなら使ったと言う。隠さない。
AIさん 透明性の問題。
わーさん 透明性。で、じゃあ「AIを使ってます」って正直に言えばOKかというと、そうでもなくて。「AI生成物お断り」の場所では、使ったと言おうが言うまいが、そもそも出しちゃダメなんです。で、特に創作系だとメジャーな流れです、AI禁止。心情に配慮してる場合もありますし、多量に生成されるAI関連作品を支えるキャパシティがない場合もあるようですけど。
AIさん 場のルールに従う、ということですね。
わーさん そうです。で、ここまで聞いて「うわ、面倒くさ」って思った人もいるかもしれないんですけど。
AIさん いるでしょうね。
わーさん 面倒くさいですよ、実際。でも、この面倒くささを引き受けないと、無邪気に人を踏む。それが一番厄介なんです。悪意がないから本人は指摘されるまで気付かないし、踏まれた側は「悪意がないのに踏まれた」から余計にAIという存在にやるせなさをぶつけるしかなくなる。
AIさん 悪意のある侵害より、無邪気な侵害の方が対処しにくい。
わーさん そういうことです。AIを使うなとは言いません。私だって使ってますし。でも、使う場所と見せ方には注意が必要です、創作系ではほぼ確実に。
AIさん 怖がりすぎず、無邪気すぎず。
わーさん ううぅ、こんな綱渡りのようなこと説教したくなかったのにぃ。
AIさん はい。ここまでが第2部ですかね?
わーさん ……重かった。
AIさん 重かったですね。
わーさん てなわけで、次は第8章、個人情報と著作権の話です。
AIさん もうひと山ありましたか。
わーさん ……第3部に行きたい。