VPS(Virtual Private Server)とはレンタルサーバーの一種で、レンタルスペースとの大きな違いはサーバーの管理者権限ごと借りられることです。
管理者権限ごと借りられるということは、プログラムなどをインストールしたり走らせたりすることができます。そしてそれこそが、自鯖を建てるのに必要となってくる機能なのです。
VPSを提供している業者さんは色々ありますが、それぞれに対する個人的な所感については、後で少しだけ述べます。
VPSで検索してサービスまで辿り着くと、WindowsのVPSとわざわざ書かれているサービスと、そういう注釈のないVPSがあります。今回必要なのはWindowsではない方のVPSです。WindowsやmacOSではなく、Linuxという、また別系統のOSで動くサーバーを借りられます。
Linux系のOSとは(概要)
主に文字で打ち込むコマンド主体で動かす、個人の作業で使うよりもサービスの基盤として使われることの多いコンピューターのシステムです。
文字(英語でcharacter)のユーザーインターフェースを持つ、ということで、CUIと呼ばれたりもするようです。余談ですが、今のWindowsやMacは画面上(グラフィック)で操作が行いやすく設計されているので、GUIと呼ばれたりもしているとか。
一口にLinux系と言っても、様々なOSが含まれます。有名どころの一つにUbuntuがあり、大体の自鯖はUbuntuの入ったVPSを借りれば建てることができます。Ubuntuを借りる場合は、なるべく数字の大きい(つまりバージョンの新しい)Ubuntuを借りた方が良いでしょう。また、 偶数.04 のバージョンがLTS(long-term support の略で、サポート期間の長いバージョン)ですので、長期に安定して使いたい場合は気にすると良いです。もしデスクトップ版とサーバー版があって悩む場合は、サーバー版の方が余計なアプリが入っておらず、用途的にもサーバーを建てたいわけですから、オススメです。
予算感について
レンタルするサーバーの業者さんやスペックにより様々です。国内でも、日割り計算で月額3桁から借りれる業者さんから、まとめて3年くらい契約することで安くなる業者さん、割高と言われるけれど質の高いことで有名な業者さんまで、様々です。
現状、おひとりさま鯖を建てる場合、RAMは2GBほどあると良いようです。
ストレージの方は、オブジェクトストレージで外部にメディアを保管するか、同じサーバーに保存するかで、必要かどうかが変わってくるでしょう。当然、同じサーバーに保管する場合は、ストレージ容量も気にした方が良いです。
オブジェクトストレージを利用する場合でも、最低20GBほどのストレージが必要と思われます。また、Mastodonやkmyblueについては、もしストレージが100GBあったとしても、大量のアカウントをリモートフォローする/連合リレー(色々なサーバーからの投稿を取り込む仕組み)に参加することを考えると少ない方で、オブジェクトストレージの利用を検討するのが良いと言われています。
国内の有名かもしれないVPS業者さんたち
KAGOYA
初期ユーザー名は「root」です。
お手頃価格です。日割り計算でプラン毎に月額上限があり、月毎に請求されます。上手く運用計画を立てれば、月額3桁からおひとりさまの自鯖を建てられます。
スタンダードプランの他、ストレージの大きな大容量プランがあります。
定期スナップショット(バックアップの一種)を撮ってくれる別途有料オプションがあります。一方で、このスナップショット関連でトラブルが多く聞かれます。
自鯖勢によく使われる2大サービスの片割れらしいです。つまり、先立からの情報が得やすいとも言えます。
マニュアル内SSH接続の項目に、Tera Term、Puttyでの接続方法の他に『マニュアル - KAGOYA CLOUD VPS サポートサイト - macOS ターミナル でSSH接続』という項目まであります。
アカウント作成後は好きなタイミングでインスタンス(鯖)が借りられますが、その最初のアカウント作成に時間が掛かることがあります。アカウント申し込みに社員さんが直接対応しているようで、平日の営業時間内にのみアカウント登録に関するメールのやり取りが進むためです。(ホワイトで素晴らしいと思います)
デビットカードでの申請はダメだったとの情報があります。
他のサービスではよくみられる、外から通信制限を行う(パケット制限のような)機能はないです。
WebARENA Indigo(筆者は未体験)
https://web.arena.ne.jp/indigo/
初期ユーザー名はUbuntuの場合「ubuntu」です。
お手頃価格です。金額は時間あたりの計算で、プラン毎に月額上限が決まっています。
基本プランでのSSDストレージは小さめです。
スナップショットの有料オプションがあります。
自鯖勢によく使われる2大サービスの片割れらしいです。つまり、こちらも先立からの情報が得やすいと言えます。
クレジットカードのみ申請可能だそうです。
ConoHa
初期ユーザー名は「root」です。
ぼちぼちお手頃価格です。キャンペーン時を狙って年単位の契約を行えば、月額換算で3桁になるでしょう。一方で、1時間毎に計算され、月額上限が決まっているコースもあります。
初期ストレージはぼちぼち、かつ、有料オプションで増やすことも可能です。
イメージの保存(スナップショットと同義)が可能です。
クレジットカード、Amazonペイで申請すれば、即時申し込みが成立するようです。他にも銀行決済、コンビニ払い、PayPalを使うことができます。
MastodonやMisskeyを独自にインストールするアプリイメージがあるようです。これらのイメージで建てた場合は、アプリの更新に癖が強いとの噂も聞きます。
オブジェクトストレージのサービスも有料オプションで存在するようです。このオブジェクトストレージについて、Mastodon(恐らくkmyblueとも)と連携する方法が、公式のマニュアルとして存在します。
Xserver(筆者は未体験)
初期ユーザー名は、 公式マニュアル上は「root」ですが、「ubuntu」であったとの報告もあるので、 VPSを借りた管理画面でよく確認してください。
ぼちぼちお手頃価格です。年単位の契約を行えば、月額換算で3桁になるでしょう。初期ストレージは小さめですが、有料オプションで増やすことができます。
コンビニ・銀行払いが選択可能なようです。
イメージの保存(スナップショットと同義)が可能です。
MastodonやMisskeyを独自にインストールするアプリイメージがあるようです。これらのイメージで建てた場合は、アプリの更新に癖が強いとの噂も聞きます。
シンVPS
初期ユーザー名は「root」です。
今まで紹介してきたサービスよりは心持ち高価な印象です。年単位で契約しても、月額換算で4桁に乗ります。基本的に月額・年額での計算です。
初期ストレージはぼちぼちです。有料オプションで増やすこともできます。
クレジットカード、一部デビットカードでの支払いに対応しています。
イメージの保存(スナップショットと同義)が可能です。
MastodonやMisskeyを独自にインストールするアプリイメージがあるようです。これらのイメージで建てた場合は、アプリの更新に癖が強いとの噂も聞きます。
この中では恐らく唯一、明確に、アダルトコンテンツの運営を許可しています。ただし勿論ですが、無修正・児童ポルノなど、法令又は公序良俗に反する内容は禁止です。
さくらのVPS
初期ユーザー名はUbuntuの場合「ubuntu」です。
2週間のお試し期間があります。基本的に月額・年額での計算です。
クレジットカードの他、銀行振込、自動口座振替などの支払い方法が選択できます。
Webコンソールが2種類あります。
スナップショットに該当するオプションはありません。
今まで紹介してきたサービスよりも心持ち高価ですが、大規模鯖をオブジェクトストレージを使わずに検討する場合、逆に最もコストパフォーマンスが良いとの噂もあります。また、対応が最も手厚いとの話も聞きます。