日本茶

茶の木 Camellia sinensis の枠で見ると、日本茶はほぼすべて 緑茶 に属する。世界の六大茶類の中で日本は緑茶の国。同じ緑茶でも、栽培の仕方と加工の仕方の組み合わせで、まるで違う表情の茶になる。

品種地図

栽培の段階で「日光を当てるかどうか」、加工の段階で「焙じるか・混ぜるか」で枝分かれする。

栽培で分岐:覆い下系と露天系

種別覆い形態特徴
玉露約20日間覆う揉んだ茶葉旨味の極致、低温抽出向き
かぶせ茶約7〜10日間覆う揉んだ茶葉玉露と煎茶の中間
碾茶(てんちゃ)約20日間覆う揉まずに乾燥抹茶の原料茶
抹茶(碾茶を石臼で挽く)粉末茶筅で点てる/練る
煎茶覆わない(露天)揉んだ茶葉日本茶の主流、爽やかな渋みと甘み
深蒸し煎茶覆わない普通煎茶より長く蒸す形は短くつぶれ、渋みが抑えられる
番茶覆わない遅摘み・規格外茶カジュアル、地方ごとに個性

加工で分岐:焙じ系・混ぜ系・規格系

種別加工
ほうじ茶煎茶や番茶約200℃で焙煎、香ばしい
玄米茶煎茶や番茶+炒り玄米緑茶+茶外茶のハイブリッド
粉茶煎茶の製造で出る粉寿司屋の上がりの定番
茎茶(雁ヶ音)玉露や煎茶の製造で出る茎すっきりした旨み
釜炒り茶摘んだ生葉を蒸さず釜で炒る九州中心の伝統製法

覆い下栽培の仕組み

玉露・かぶせ茶・碾茶(→抹茶)に共通する栽培法。新芽が育つ時期に茶園をヨシズや黒い寒冷紗で覆い、日光を遮る。

仕組みは化学的にきれい:

  • テアニン(うま味成分のアミノ酸)は茶の根で作られて葉に運ばれる
  • 日光に当たるとテアニンは分解されてカテキン(渋み・苦みの成分)に変わる
  • 覆って日光を遮ると、テアニンが分解されずに葉に蓄積する
  • 結果、覆い下のお茶は「うま味たっぷり、渋みは控えめ」になる

副産物として、覆い香(おおいか) と呼ばれる海苔のような独特の香りが生まれる。玉露や上質の抹茶を口に含んだときのあの香りはこれ。

五大産地

産地主産物特徴
静岡煎茶(深蒸し中心)生産量全国1位(約33,400t)。牧之原で深蒸し製法が誕生
宇治(京都)玉露・抹茶(碾茶)玉露・抹茶の生産量全国1位。覆い下栽培の本家
鹿児島(知覧など)煎茶・深蒸し煎茶生産量全国2位。日本最速の「走り新茶」、南国の濃厚な旨み
八女(福岡)玉露玉露生産量が全国の約50%。日本一の玉露産地
狭山(埼玉)煎茶寒冷地で葉肉が厚い。狭山火入 という独自の焙煎で焙じ香が立つ

三大銘茶と三大産地

  • 日本三大銘茶 — 静岡・宇治・狭山。「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」という古い茶摘み歌に由来
  • 生産量の三大産地 — 静岡・鹿児島・三重

「三大銘茶」と「三大産地(生産量)」は別物で、銘茶の方は伝統と知名度、産地の方は生産規模の話。

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