青茶
「青茶(チンチャ)」、または「烏龍茶(ウーロンチャ)」。六大茶類の中で 酸化度の幅が一番広いお茶。15〜80%の範囲で、緑茶寄り(清らかな花香系)から紅茶寄り(重厚な果香系)まで地形がカラフルに広がる。
製法のキモは:
- 萎凋(しおれさせる) で水分を抜く
- 揺青(ようせい) で茶葉を軽く揉んで部分的に酸化させる
- 殺青(さっせい) で加熱して酸化を止める
- 揉捻 と 乾燥
酸化を「止めるタイミング」を細かく操作することで、同じ茶の木からこれだけの幅が出る。
酸化度のグラデーション
| 酸化度 | タイプ | 代表 |
|---|---|---|
| 15〜30% | 清香(せいこう)系。緑茶に近い、花香 | 文山包種(台湾)/高山烏龍(台湾)/清香鉄観音(安渓) |
| 30〜50% | 中発酵。バランス型 | 凍頂烏龍(伝統製法) |
| 50〜70% | 焙煎系・濃香系 | 武夷岩茶(大紅袍・肉桂・水仙) |
| 60〜80% | 重発酵。紅茶に近い | 東方美人(台湾) |
同じ「鉄観音」でも、現代の清香タイプ(緑がかった見た目、爽やかな花香)と、伝統的な焙煎を効かせたタイプ(濃褐色、深い焙煎香)では別物の表情になる。
産地別の地形
福建省・閩南:安渓四大名茶
南福建の安渓県周辺。
- 鉄観音 — 安渓の代表。発酵後に強く揉捻して茶葉が丸まり、表面は鉄のように艶を持つ。蘭やキンモクセイの花香、桃のような果香
- 黄金桂 — 黄旦(おうたん)品種から作る。金木犀のような華やかで甘い香り、収穫が早い、軽くあっさりした味わい。鉄観音より発酵度を低めにする
- 本山 — 鉄観音に似た味で価格は手頃
- 毛蟹 — 蘭の香り、軽め
福建省・閩北:武夷岩茶(ぶいがんちゃ)
北福建の武夷山一帯で、岩肌の崖に育つ茶。焙煎を効かせる のが特徴。「岩骨花香(がんこつかこう)」と称される、岩のミネラル感と花の香りが同居する独特の風味。
- 大紅袍(だいこうほう) — 「茶中の王」。武夷岩茶の代表中の代表。条索は緊結で艶のある緑褐色、岩韻が明らかで甘い余韻
- 肉桂(ロウグイ/にっけい) — シナモンに似た辛香(しんこう)が立つ。花果香と乳香(クリーミーな香り)の組み合わせ。武夷岩茶で生産量が多い品種
- 水仙(すいせん) — 蘭花の葉のような繊細な香り、湯感が厚く滑らか。柔らかな印象
広東省:鳳凰単欉(ほうおうたんそう)
広東省潮州市の鳳凰山で作られる烏龍。「単欉(単叢)」は「独立した1本の茶樹」の意で、樹齢の古い茶樹一本ごとに茶を仕立てる。
特徴は 香りの種類の多さ。80種以上といわれる香型を持ち、整理して 十大香型 にまとめられている。
- 蜜蘭香(みつらんこう) — マスカットやライチを思わせるフルーティーな香り、蜜のような甘さ。最も人気
- 鴨屎香(やしこう/ヤーシーシャン) — 強烈な花香とマンゴーのような南国フルーツ香、透明感のある甘み。世界的人気。2014年頃に 銀花香 と改名されたとされる(スイカズラのような花香が銀花の意)
- 十大香型 — 黄梔香、芝蘭香、玉蘭香、蜜蘭香、杏仁香、夜来香、姜花香、桂花香、肉桂香、茉莉香
「香りで遊ぶ烏龍」の代表的存在。
台湾:青茶の聖地
台湾は青茶を中核に据えた茶業文化を育てた。
- 高山茶(高山烏龍) — 標高1,000m以上の茶園で作る総称。阿里山・杉林渓・大禹嶺(標高約2,500m)など。冷涼な気候で渋みが抑えられ、花香が際立つ
- 凍頂烏龍 — 台湾中部・南投県鹿谷郷、凍頂山周辺。すっきりとした飲み心地、爽やかな後味、伝統的に焙煎を施す
- 文山包種(ぶんざんほうしゅ) — 台北・新北の文山地区。酸化度低めの清香系で、緑茶に近い爽やかさ
- 東方美人(とうほうびじん) — 「ウンカ」という小さな虫が茶葉を噛むことで、茶葉が自衛のために蜜のような香り成分を出す、偶然から生まれた奇跡の茶。発酵度70%前後で紅茶に近い。シャンパンを思わせる華やかさ
「台湾三大烏龍」というと 凍頂烏龍・文山包種・東方美人 を指す。
焙煎の効き方
青茶のもう一つの軸は 焙煎(焙火・ほいか) の強弱。
- 清香(せいこう)系 — 焙煎を弱くするか、ほぼかけない。緑がかった見た目、爽やかで明るい花香。現代主流
- 熟香/濃香系 — 強めに焙煎をかける。茶葉は濃褐色、香りは深く、ロースト香や乳香が出る。武夷岩茶や伝統製法の鉄観音、伝統凍頂烏龍がこちら
同じ茶葉でも、焙煎を入れ直す(再焙)ことで時間を経て熟成させた表情になる。
関連記事
ソース
- 鉄観音・黄金桂・水仙・色種(お茶百科) — 安渓四大名茶
- 黄金桂(Wikipedia) — 黄金桂の特徴
- 鉄観音(Wikipedia) — 鉄観音の特徴
- 武夷岩茶中的水仙、肉桂、大紅袍有何不同?(廖長興茶業) — 武夷岩茶の品種比較
- 鳳凰単欉(Wikipedia) — 鳳凰単欉概論
- 鳳凰単叢とはどんなお茶なのか?十大香型について(CHANOYU) — 十大香型と単欉
- 鳳凰単叢 鴨屎香(茶の穂) — 鴨屎香/銀花香の解説
- 台湾茶の種類(琅茶 Wolf Tea) — 台湾烏龍各種
- 料理家栁川かおりさんがおすすめする台湾三大烏龍茶(Tokyo Tea Trading) — 台湾三大烏龍
- 凍頂烏龍茶・懐郷(台湾茶ドットネット) — 凍頂烏龍